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2013.1.6 14:43
自動車を運転するのに免許証がいらない時代が、そう遠くない将来に訪れそうな気配だ。
新年早々、トヨタ自動車がウェブサイトで公表した「レクサスLS600h」を改良した自動運転車のビデオ映像。衝突防止のためのブレーキやアクセルの自動制御はもはや当たり前で、無人でも運転可能な完全自動化が視野に入る時代を迎えた(米国トヨタのホームページから)
トヨタ自動車は、8日から11日まで米ラスベガスで開催される国際家電ショーで、最新の自動運転技術を備えた試作車を公表することをウェブサイトで明らかにした。自動運転技術ではインターネット検索大手の米グーグルが先行し、2010年から技術開発を行っているが、世界のトヨタがこの分野に本格参入すれば、技術の進歩に拍車がかかるのは必至だ。国土交通省の検討会も昨年、20年代初頭に自動運転の実用化を目指すとの報告書を発表しており、トヨタの今年の「初夢」が正夢になる日は、近いかもしれない。(SANKEI EXPRESS)
展示するのは、毎年1月、全米家電協会(CEA)が主催してネバダ州ラスベガスで開催される「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES、通称セス)」。レーダーとカメラ、そして周囲を察知する各種センサーなどを搭載した「レクサスLS600h」を披露する。
衝突回避、信号も感知
この試作車は歩行者や他の自動車との衝突を回避し、詳細な電子地図情報に基づいて道路の走行レーン、信号なども感知することができるため、運転手不在でも通りを走ることが可能だ。トヨタはこの車両を紹介する5秒間のビデオ映像をウェブサイトに公開し、「安全性を向上させたレクサスの研究車両は新しい自動化の時代へと業界を牽引(けんいん)する」と説明している。
車両の屋根の上には、グーグルが研究車両に使っているのと同じレーザーが設置されているとみられる。グーグルは自動運転車両として「プリウス」など多くのトヨタ車を利用しているが、ウォールストリート・ジャーナル紙によると、トヨタの技術は両社の提携の結果ではなく、それぞれが独自に開発したものという。
グーグルは今後5年以内に自動運転技術を実用化すると発表しており、昨年8月にはグーグルの自動運転車(グーグルカー)が48万キロを無事故で走破した。すでにネバダ、カリフォルニア、フロリダの各州では、自動運転車が「合法化」され、公道走行がグーグルカーに許可されている。
安全性・省力化に移行
また、今回、トヨタがモーターショーではなく、家電ショーに出品するというのは示唆的だ。
電気自動車(EV)の一層の普及とともに車は家電の目玉商品へと変貌し、高齢者や女性ドライバーの増加にも対応して、スピードや馬力などの走行性よりも、安全性や運転操作の省力化に力点が移っていくことを暗示している
日本では昨年、交通事故死者数が4411人で12年連続減少し、61年ぶりに4500人を下回ったが、警察庁はその要因の一つとして車両の安全技術の著しい向上をあげている。
CESには独アウディも自動運転車を出品して技術をデモンストレートする予定で、運転手がいなくても駐車スペースを見つけて自動的に駐車する性能が含まれているという。
自動車を運転するのに免許証がいらない時代が、そう遠くない将来に訪れそうな気配だ。